こんにちは、中小企業診断士のがくじんです。中小企業診断士二次試験に合格したら、次に何をすべきか手っ取り早く知りたい方へ向けて、この記事では具体的な流れと準備について解説します。合格発表の喜びも束の間、その後に続く手続きや実務補習、登録申請などちょっぴりめんどくさいことが待っています。この記事が少しでも皆さんの助けになればと思っています!
目次
1. 合格発表の確認
合格発表の確認
合格発表は、中小企業診断協会のWebサイトで、受験番号が合格者一覧に載っているかを確認することができます。
合格発表後はスケジュールがタイト!
特に注意したいのは、合格後に行うべき手続きのスケジュールです。例えば、実務補習や登録申請の申込期間は短いことが多く、余裕を持った対応が重要です。協会から届く案内を見逃さないようにしましょう。
2. 実務補習または実務従事の実施
中小企業診断士として登録するには、合計15日間の「実務補習」または「実務従事」を行う必要があります。
実務補習、実務従事とは
合格後、中小企業診断士登録を目指すためには、「実務補習」または「実務従事」を通じて実務経験を積む必要があります。
実務補習の概要
実務補習とは
- 中小企業診断士協会連合会が主催するもので、指導員のもと、中小企業の診断実務を学びます。
スケジュール
- 2月~3月や7月、8月に集中して開催されます。
- 令和6年にコース日程が大幅に変更されました!従来あった5日間コースが廃止され、新たに8日間コースが設定されました。
詳細は中小企業診断士協会連合会HPをご参考ください。
費用
- 令和6年4月に受講料が改訂されました!
<改定後の受講料>
・15 日間コース :210,000 円(税込み)
・8日間コース :105,000 円(税込み)
・5日間コース :70,000 円 (税込み)
(一日当たりの受講料 改訂前:12,000 円 → 改訂後:14,000 円)
申込方法
- 中小企業診断協会のウェブサイトで案内が出ますので、それに従って手続きします。
実務従事の概要
中小企業診断士が実際の中小企業の経営診断や経営支援に従事し、実践的なスキルを習得すること。
必要条件
- 診断士試験合格後、中小企業診断士として登録する前に「15日以上」または「実働100時間以上」の実務従事が必要。
実務従事の内容
以下のような活動が実務従事に該当します。
- 経営診断業務:中小企業の現状分析、経営課題の発見、改善提案。
- 経営改善提案:財務分析、マーケティング戦略立案、業務効率化の提案など。
- 事業計画の作成支援:新規事業の立ち上げや事業再生計画の作成。
- 専門分野の支援業務:IT活用、DX推進、環境経営など特定分野の支援。
実務従事の実施方法
主に以下の方法で実務従事を行います。
①診断士登録機関が実施する「実務補習」
- 中小企業診断協会や診断士の団体が提供する有料プログラム。
- ベテラン診断士の指導のもと、複数名の診断士候補者と実務経験を積む。
②診断士として働く機関での業務経験
- 実務従事機関(例えば商工会議所や中小企業支援機関など)で、経営診断業務に従事。
- 診断士としての実務に近い環境で経験を積む。
③実務従事プロジェクトに参加
- 診断士協会や地域の支援機関が募集するプロジェクトに参加。
- 実際の中小企業を対象に診断・支援活動を行う。
実務補修と実務従事、どっちを選択すべき?
以下に、中小企業診断士の登録要件である「実務補修」と「実務従事」のメリットとデメリットを表形式で整理しました。 ご自身のおかれた状況や欲しい経験、登録までのスケジュールを基に選択することが望ましいでしょう。
メリット
実務補修 | 実務従事 |
---|---|
– 実務経験がなくても参加可能で、診断スキルを実践的に学べる | – 実際の企業での経験を通じて、診断士としての信頼性を高める |
– 経験豊富な講師や指導者から直接フィードバックを受けられる | – 企業とのネットワークが構築できる |
– グループワークを通じて同期や他の診断士との交流が深まる | – 費用負担が軽減される(報酬が得られる場合が多い) |
– 計画的なスケジュールで進行するため、安心して取り組みやすい | – 自ら案件を獲得するため、営業力や交渉力が身につく |
– 診断報告書作成やプレゼンの練習ができ、即戦力としてのスキルを磨ける | – クライアント企業のリアルな課題に向き合えるため、実務経験としての価値が高い |
デメリット
実務補修 | 実務従事 |
---|---|
– 費用がかかる(受講料+交通費など) | – 案件獲得に苦労する可能性がある |
– 場所や日程が指定されるため、スケジュール調整が必要 | – 責任が重い(報告書や提案内容が実際の企業活動に影響を与える) |
– 指導者のスタイルに合わない場合、満足度が下がる可能性がある | – 自主性が求められるため、経験が浅い場合はハードルが高い |
– 決められたシナリオに沿った診断になる場合があり、実務の多様性を十分に学べない場合がある | – 診断先企業との契約条件や範囲によって、十分な実績を積めないケースもある |
筆者の選択と所感
私が登録手続きを行った令和6年は5日間コースがまだ設定されていました。そこで、以下の方法で15日間を満足しました。
実務補修(2月)5日間+実務補修(7月)5日間+実務従事(一般企業)5日間=15日間
実務補修を選択したのは、先輩診断士の指導と診断士との交流が欲しかったからです。当初、5日間を3回受講する予定でしたが、実際は2回の受講で十分だと感じたためです。 実務従事は知り合いの会社で経営支援を行っていたため、十分条件を満たていました。 実務補修は担当講師や支援先企業によって負担感が全く異なります。筆者は1回目の実務補修では講師の細かい指導があったものの、そこまで負担感を感じませんでした。しかし、2回目の実務補修では支援先がトラブルに見舞われたり、講師との相性から連日、朝までの作業となってしまい、大変な思いをしました。受講する地区でも差異があるようですので、気になる方は事前に先輩や同期診断士から情報を収集することをおススメします。
3. 登録申請書類の準備
必要書類を揃えよう
中小企業診断士試験第一次試験および、第二次試験合格者に診断士登録の際には、以下の書類が必要です。
※要請課程を経て登録される方は、異なる書類が要求されますので、ご注意下さい。
- 中小企業診断士登録申請書(様式第1、原本)
- 中小企業診断士第2次試験合格証書(原本)
- 実務補習修了証書(原本)または、実務従事の実績証明書(様式18、19、20、原本)
- 住民票の写し
詳しくは中小企業庁のホームページにてご確認ください。
4. 中小企業診断士登録証の取得
登録証を受け取った瞬間、正式な中小企業診断士として名乗ることができます。
登録後は、名刺やWebサイト、SNSプロフィールの更新を行いましょう。
5. 合格後の活動範囲を広げよう
診断士として成功するには、スキルや能力よりも行動力です。活動の基盤が整うまでは、いろんな場所に顔を出して積極的に活動しましょう。研究会などでは、積極的に活動に発言や活動することを心がけましょう。そういった活動をきっと先輩方も見ています!
診断士協会への入会(任意)
各地方の診断士会に入会することで、研修や勉強会への参加が可能になります。また、同じ志を持つ診断士とのネットワークを築けることも大きな魅力です。診断士協会は複数入会することもできます。会費は1万円~数万円と地方によって異なります。筆者も岡山診断士会に入会しています。活動の幅を広げるため、故郷である奈良県の診断士会への入会も検討しています。
入会のメリット
- 専門知識の継続的な習得
- 人脈形成の機会
- 研修やセミナーの案内
研究会への入会(任意)
診断士界隈に入ると至るところで研究会があります。そのジャンルはまさに多種多様!本格的な経営診断を学ぶ研究会もあれば、AIやDXに特化した情報交換を行うもの、マーケティングを学ぶものなど多種多様です。ほとんどが無料なので、最初は気になるものがあれば、どんどん顔を出していきましょう!ご自身の活動領域が定まってくれば、より有用だと思える研究会に注力していきましょう。筆者は現在、岡山県診断士協会のモノづくり研究会やキャリアアップ研究会、中小企業政策研究会のデジタルマーケティングラボに参加しています。どれもが興味があり、なかなか全てに顔を出すことが心苦しい状況ですね。
研修やスキルアップの継続
診断士として成功するにはスキルの研鑽が必要です。診断士合格に満足せず、継続してスキルアップを図っていきましょう!
- プロコン塾など経営診断の研修受講
- 様々な講座の受講
- 新たな資格の取得
筆者も私自身も診断士として活動しながら、Webマーケティング分野を学び続けています。これにより機会が大幅に増えました。 今後はコーチングの分野も学び、活動に活かしていきたいと考えています。
6. ブログやSNSで情報発信
なぜ情報発信が重要か
診断士としての知名度を高めるためには、ブログやSNSでの情報発信が欠かせません。自分の専門分野や実績を公開することで、仕事の依頼や信頼が得られる可能性が高まります。
具体的には、次のようなコンテンツを発信すると効果的です。
- 試験対策や勉強法の解説
- 実務補習の経験談
- 中小企業支援の成功事例
おわりに
中小企業診断士二次試験に合格したら、必要な手続きやスキルアップを計画的に進めることが重要です。この記事が、これから診断士としてスタートを切る皆様の参考になれば幸いです。私がこれまでに得た経験と知識を、今後も記事を通じて共有していきますので、ぜひお楽しみに!